折り返しの鉄骨階段 IN 北九州
折り返しの鉄骨階段 IN 北九州
スパーゼネコンさん系列のハウスメーカさんの依頼で住宅に折り返しの鉄骨階段を取り付けました。
小さな巨大プロジェクトはいかに
なんてタイトルを付けましたが、そのくらいに頭を悩ませる工事でした。
依頼主は某スーパーゼネコン系列のハウスメーカーさん。
この会社はプレキャスト鉄筋コンクリート造を得意とされ、地震、火災、歳月に強い鉄筋コンクリート壁式構造を売りに戸建て住宅を販売されています。
うちみたいなちっぽけな町工場は、スーパーゼネコンさんの名前を聞いただけでビビっちゃうんで(笑)、最初はお断りをしたんですよ。
ハウスメーカーさんも『そうですかぁ~』と1度は引き下がられたのですが、その後お施主様と色々とあったらしく、『お客様の強いご希望なので』という殺し文句にお引き受けすることになったのでした。
会社で折り返し鉄骨階段の打ち合わせ
とりあえず、顔合わせを兼ねてお打ち合わせをしましょうということで、福岡にある支店を訪問。
田舎もんがボロボロの作業着で行ってきました(笑)
姿なんて関係ないっす。
そう、仕事を見てって感じ(笑)
そして、打ち合わせも終わり、お互いホッとしました。
これで本腰入れて作業に掛かれそうです。
折り返し鉄骨階段の現場実測
『現場実測が出来ますよ』と連絡がありましたので、北九州の現場まで行ってきました。
しかし、プレキャスト鉄筋コンクリートの現場は初めて。
この住宅は鉄筋コンクリートのパネルで出来ているので、当然パネルの中には鉄筋が入っているわけですよ。
感がイイ人は分かりますよね。
今回のこの折り返し鉄骨階段は固定箇所が4つあります。
そう、この鉄筋を交わして階段本体をアンカーで固定しないといけないんです。
この段階で気になる事。
- 壁の中の見えないところに鉄筋がある
- 搬入時にクレーンが使えない
しかし、ここですごいな~と思ったのは、配筋図をハウスメーカーさんが準備してくれました。
さすがスーパーゼネコンさん系列のハウスメーカーさん\(*T▽T*)/
最悪、金属センサーを使って鉄筋の位置を出さないといけないかなぁ~と思っていただけに、少し楽になりました。
でも、難工事なのには変わりありません(^_^;)
折り返し鉄骨階段の図面作成
この階段は図面の作成も大変でした。
通常はここまで描く必要がないのですが、ハードル高いお客様(笑)なので納得頂けるような内容で描きました。
しかし、逆に考えれば、ここまで描けば出来たようなものです(笑)
製作の現場が間違わなければ・・・(¯∇¯)
折り返し鉄骨階段の製作
しかし、製作の現場も気を使います。
調整部分や逃げを作ったり。
考えることなく一発で合わせやすいようにパーツを付けたり。
普段使わないような小技を炸裂!
階段本体を3分割した内の2つ。
そして、切板はすべてレーザーで切って、部材も擦り合わせをして、完璧は無理ですが出来るだけ図面に近い数字にしていきます。
部材がすべて完成したので工場内で仮り組みをします。
『よし、これならいけるバイ♪』と自分に言い聞かせて。
折り返し鉄骨階段の現場位置出し
さて、基本的に壁はフラットに仕上がっているので、位置出し作業はやりやすかったです。
このように、折り返し鉄骨階段の本体を固定する箇所を壁に書いていきます。
全部で4か所。
そして、穴はこの位置出しををもとに開けていきます。
これがズレるとすべてズレるので慎重に寸法を確認して印を入れていきます。
折り返し鉄骨階段の現場搬入
折り返し鉄骨階段の塗装も終わり、現場に突入!
しかし、クレーンが使えませんので、原始的な方法ですが、『コロ』と言われるものでコロコロ~って搬入します。
世の中に便利な道具はあふれているが、時としてこうした原始的な方法が有効な場合もある。
要はどれだけの引き出しとカードを持っているかということだ。
折り返し鉄骨階段の現場設置
そして、3分割した折り返し鉄骨階段本体を取り付ける順番にひとつずつ搬入して固定をしていきます。
角材、チェーンブロック、ベルトスリング、使えるものはすべて使って。
1か所でも狂うと折り返し鉄骨階段全体が狂うのでとても緊張しました。
次のパーツの誤差も考慮して誤差を調整。
そして、折り返し鉄骨階段本体の4か所の固定が終わりました。
ほぼ計算通りに納まったので安心しました(﹡ˆ﹀ˆ﹡)
ステンレス手すりの取り付けと折り返し鉄骨階段の完成写真
6か月間頭を悩ませられてきた折り返し鉄骨階段の問題から解放されました(´▽`) ホッ
いくらお客様のためとはいえ、長かった、きつかった。
なにをやっていてもこの案件が頭から離れることはなかった。
しかし、悩んだだけあって良いものが出来た。
出来てみればなんてことはない。
『あぁ~こんなんことで悩んでいたのね』みたいな感じ。
でも、ここまでくるプロセスが大変だったのでした。
あまりギリギリを攻め過ぎた自分にも問題はありますが・・・
完成写真
この折り返し鉄骨階段はスチール空間設計オリジナルの鉄骨階段ST-13をデザインのベースとしたものです。
ステンレスの手すりはお客様から頂いたイメージ写真をもとに製作をしました。
あぁ~このジョイン(接続部)も悩んだなぁ~
図面で描くのは簡単。
でも、それを現場で再現するのは難しい。
- 躯体精度
- 鉄骨階段の精度
- 木踏板の取り付け精度
- ステンレス手すりの製作精度
このすべてが絡んでくるのでそれらの誤差を出来るだけ最小に抑える努力が必要。
ここが階段を上り切ったところ。
続いて別の角度から。
周りの落ち着いた雰囲気に上品なステンレスの手すりが合っていますね。
ちなみにステンレス手すりの仕上げはヘアーラインです。
折り返し鉄骨階段全体を上から見たところ。
鉄骨階段本体が少ししか見えないので段板が宙に浮いているみたい。
折り返し鉄骨階段の全体写真
当初、施工が簡単という理由から折り返し鉄骨階段に柱を建てることをご提案しました。しかしお客様の強いご希望で柱は無しに(笑)
でも、苦労しただけあって良いものが出来ました。
当初は揺れも想定。
しかし予想に反してしっかりとした折り返し鉄骨階段となりました。
途中で、『こんな仕事はもうしたくない!』と思ったのですが、のど元過ぎればで、また同じような案件がくればやってしまうんでしょうね(笑)